乗客5人が死亡した営団地下鉄(現東京メトロ)日比谷線の脱線事故から15年となった8日、東京都目黒区の現場近くにある慰霊碑に奥義光社長が献花して犠牲者の冥福を祈り、安全運行を誓った。訪れた犠牲者の知人らも手を合わせ、事故の再発防止を願った。
事故が発生した午前9時1分ごろ、冷たい小雨が降る中、奥社長らが白ユリなどの花束を手向け黙とうした。奥社長は取材に「事故を起こし、今も申し訳なく思っている。二度と起こさない固い決意で、全社一丸となって安全確保に最大限の努力をする」と語った。
亡くなった公務員、藤井新也さん(当時33)の同僚、加藤昌人さん(47)は「近況を報告した。藤井さんは皆に好かれ、頼りにされていた。(鉄道会社は)人間は間違いを起こすことを前提に、事故を発生させない仕組みをつくっていってほしい」と話した。
事故で右脚を骨折したという横浜市の会社員、依戸裕之さん(44)は今も関節が曲がらない後遺症があると明かし「メトロは安全に対する考え方や技術の継承を続けてほしい」と話した。
献花した目黒区の男性会社員(55)は「犠牲の上に安全が担保されていると思うと、非常に申し訳ない」と複雑な胸の内を語った。
事故は2000年3月8日、日比谷線中目黒―恵比寿間のカーブで発生した。下り電車の最後尾車両が脱線し、対向の上り電車に衝突、5人が死亡し64人が重軽傷を負った。当時の運輸省鉄道事故調査検討会は車輪にかかる荷重のアンバランスなど複数の要因が重なって車輪がレールに乗り上げたのが脱線の原因と結論付けた。〔共同〕