トヨタ自動車は26日、新しいクルマづくりに向けた進捗状況の説明会を開いた。車台(プラットフォーム)の集約や部品共通化を軸とする新生産方式「TNGA」を導入した「プリウス」を年内に発売し、2020年までに新方式の対応車を全世界販売台数(約1千万台)の約半分にする。新車生産にかかる設備投資額も08年比で半減し、欧米勢に対抗する。
トヨタは12年にTNGAの導入を発表。中型車や小型車などのカテゴリーごとに車台を絞り込み、部品の共通化も進めることで、開発にかかる工程を効率化する。
技術的な詰めを進めた結果、開発期間などを現在よりも20%以上削減できるめどが立ったという。26日の記者会見でトヨタの加藤光久副社長は、浮いた経営資源を再投資することで「もっといいクルマづくりのサイクルを回す」と強調した。
説明会では開発中の車台も公開した。新たなエンジンと変速機を採用し、従来車種と比べて燃費性能を25%以上改善しながら、動力性能を15%以上高めるメドをつけた。ハイブリッド(HV)の性能も電池やモーターなどの小型・軽量化により、15%以上の燃費向上を実現するという。新車台は今後ハッチバックやクロスオーバーなど複数の車種に展開する見通し。
生産設備の投資効率化の取り組みも紹介した。車両モデルを切り替える際の設備投資額を抑制し、今年度中に08年比で半減する方針を示した。
TNGAの導入時には部品の共通化などに伴い、金型などの新規の設備投資が発生する見通し。こうした負担増に備え、既存の工場の設備投資を抑えることで、TNGAの投資負担による収益への影響を抑える狙いがある。
TNGAや工場投資を減らす改革は、08年のリーマン・ショック前に成長を急ぎすぎたことへの反省がある。車が枝分かれする形で約100車種に増え、開発の兵たんが伸び切った。工場も台数を増やすことに目が行きがちとなり、需要が減ったときに固定費を抑える手立てが打てていなかった。
生産技術を担当する牟田弘文専務役員は「新しい工場は今の技術だけではなく、さらに改善した取り組みをしっかり入れていきたい」と話した。