【フランクフルト＝加藤貴行】米紙ウォール・ストリート・ジャーナル（電子版）は７日、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルが英エネルギー大手のＢＧグループの買収交渉に入っていると報じた。買収金額は500億ドル（約６兆円）を上回る見通しという。買収が成立すれば、シェルは欧米メジャー（国際石油資本）で首位の米エクソンモービルに迫る規模になる。

報道によると、両社が８日にも発表する可能性がある。ＢＧは７日夜、シェルとの交渉を認め近く追加の発表をするとの声明を出した。

シェルの2014年の原油・天然ガス生産量は日量308万バレル（原油換算）で、メジャーでは２位。同61万バレルのＢＧを傘下に収めれば、同397万バレルのエクソンを追い上げる体制が整う。原油安を引き金に業界の大型再編が本格化する可能性がある。

シェルは近年、天然ガスの開発・生産を強化しており、液化天然ガス（ＬＮＧ）の供給では世界首位だ。一方、ＢＧはオーストラリアや、豊富な埋蔵量が確認されている東アフリカでＬＮＧプロジェクトを手がける。またブラジル沖の油田など、シェルが手薄な地域にも進出する。シェルはＢＧ買収で、新興国にＬＮＧや原油を供給しやすい地域で一段と存在感を高めることができる。

昨年からの原油安で、石油大手の収益を支えてきた開発部門の業績が悪化している。特にＢＧはエジプト事業の不振などが響いて収益が低迷し、昨年から欧米大手による買収対象として名前が挙がっていた。ＢＧの７日終値ベースの時価総額は311億ポンド（約５兆5400億円）と１年間で約２割減少した。