警察内部で照会した車の使用者情報を漏らしたなどとして、地方公務員法違反罪などに問われた元愛知県警捜査1課警部、倉木勝典被告(57)の判決公判が23日、名古屋地裁で開かれた。景山太郎裁判長は「暴力団共生者と内通し、警察に対する国民の信頼を著しく傷つけた」として、懲役2年6月、執行猶予4年(求刑懲役2年6月)の判決を言い渡した。
判決理由で、景山裁判長は、倉木被告が、元風俗店グループの実質経営者の受刑者(57)=同法違反罪などで実刑判決が確定し、服役中=に、情報を伝えていたと認定。事件の背景として、暴力団の資金源とされる暴力団共生者との不正な親交関係をあげ、「捜査手法が悪用され、犯罪捜査の機密性が損なわれた」と批判した。
その上で、倉木被告が懲戒免職処分を受けたことや、捜査員として重大事件の解決に寄与したことなどを考慮し、執行猶予を付けた。
判決言い渡し後、景山裁判長は倉木被告に「38年にわたって警察官の仕事に従事し、部下の尊敬と信頼を集めていただけに、事件は残念だ」と述べた。
判決によると、倉木被告は2012年8~9月、警察署内の端末から情報管理システムにアクセスして入手した自動車の使用者情報を、元実質経営者に伝えたほか、元実質経営者らの情報を照会した警察官を調べるよう、県警照会センターの担当者に申請し、回答させた。