親族もいない簡素な葬儀。NPO法人「きずなの会」の職員2人が参列した=愛知県内、飯塚晋一撮影
遺言者には身寄りがないことから、お世話になった福祉団体に財産を遺贈することにしました。
2014年2月、愛知県内の病院でひとりの男性が亡くなった。56歳、独身。病床で遺言を残した。
3年後の昨年4月。遺言にある「福祉団体」の元代表理事(65)の姿が名古屋地裁の法廷にあった。男性を含む2人から遺贈された財産計1億5千万円を隠したとする脱税の罪。
元代表理事は起訴内容を認め、その後、執行猶予付きの有罪判決を受けた。判決は「非営利型法人の制度趣旨からかけ離れた実態だった」と断じた。
団体は身寄りのない人の生活を支える「家族代行」と呼ばれる事業を展開していた。男性は療養中に会員になった。事件を知り、こうした事業が広がる背景について、取材を進めた。
「我々も同じだと思われかねない」。名古屋市のNPO法人「きずなの会」の小笠原重行専務理事(63)は、困惑した表情で打ち明けた。
会はホームページで「身元保証…