【ドレスデン(ドイツ東部)=江渕智弘】麻生太郎財務・金融相は28日、7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で訪問中のドレスデンでルー米財務長官と会談し、為替相場の急変動は望ましくないとの認識で一致した。麻生氏は会談後、記者団に対して「この数日間、(為替相場で)荒い動きがある。今後も注意深く監視していく」と述べ、足元の急速な円安・ドル高をけん制した。
円相場は28日に一時1ドル=124円台に下落し12年半ぶりの円安水準になった。日本企業の原材料の輸入コストが膨らむほか、米国の輸出企業の業績を下押しする懸念がある。円安につながる米利上げ観測が後退しているにもかかわらず、予想外のスピードで円安が進んでいることに両政府は警戒感を強めている。
麻生氏とルー氏は28日午前(日本時間28日夕)、G7会議の会場内で約10分間、会談した。G7は2013年2月、「為替レートの過度の変動や無秩序な動きは経済・金融の安定に悪影響を与える」との考え方を共有している。麻生氏は、その合意を「再確認している」と語った。
対円でドル高が進む一方、ユーロの対ドル相場は大きく変動していないこともあり、いまのところ欧州勢は為替相場を静観している。このためG7の全体会合では為替は議論しなかった。