京都大の小西郁生教授らは9日、悪性黒色腫(メラノーマ)を治療する新薬「ニボルマブ(商品名はオプジーボ)」が再発した卵巣がんに効果があることを、医師主導の臨床試験(治験)で確認したと発表した。がん細胞が免疫の攻撃を逃れる仕組みを壊す働きがあり、患者20人のうち3人でがんが消えたり縮んだりした。さらに治験を進めて実用化につなげる。
この新薬は小野薬品工業などが昨年、皮膚がんの一種である悪性黒色腫の治療薬として発売した。
通常、がん細胞ができると体の免疫機能が攻撃を仕掛けるが、がん細胞はPD―L1と呼ばれるたんぱく質を作り、免疫細胞のPD―1というたんぱく質と結びつくことで免疫機能にブレーキをかける。ニボルマブはこの結合に割り込んで、がん細胞への攻撃を再開させる。
研究チームは抗がん剤が効きにくくなった再発卵巣がんの患者20人にニボルマブを2週間ごとに最長で1年間投与したところ、2人でがんが消え、1人は縮小した。今後、効果や副作用の検証を進める。
国内では毎年約8000人が卵巣がんの診断を受け、約4500人が亡くなっている。病状が進んでから見つかることが多いうえ、抗がん剤への耐性ができやすく、治療が難しい。