8人が死亡、3人が行方不明になった兵庫県尼崎市の連続変死事件で、うち3件の殺人罪などに問われた角田美代子元被告(当時64)=自殺=の義理のいとこ、李正則被告(41)の裁判員裁判で13日、神戸地裁(平島正道裁判長)は求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。
李被告は、事件で起訴された美代子元被告の親族7人のうち、最も多い10の罪に問われた。初公判では死体遺棄や加害目的略取の罪を除いて大半を否認。3件の殺人罪は「死ぬとは思っていなかった」などと殺意を否定し、1件の傷害致死罪は「暴行していない」と無罪を主張した。
判決理由で平島裁判長は3件の殺人罪についていずれも「殺意はあった」と認定。傷害致死罪への関与を否定する被告の主張も「別の親族の説明と状況が食い違い不自然」として退けた。
同被告が被害者を見張るための監視モニターの設置や虐待方法を提案したことなどにも触れ「いずれの犯行においても重要な役割を積極的に果たした」と非難した。
判決によると、被告は元被告らと共謀して▽沖縄県内の崖から転落死した角田久芳さん(当時51)▽尼崎市内の元被告マンションのベランダで衰弱死した仲島茉莉子さん(同26)▽岡山県の海から遺体で見つかった橋本次郎さん(同53)――の3人を殺害するなどした。ほかに傷害致死と監禁などの罪でも起訴された。