【パリ=浅沼直樹】第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)は12日夜(日本時間13日未明)、2020年以降の地球温暖化対策の新たな枠組み「パリ協定」を採択し、閉幕した。条約に加盟する196カ国・地域すべてが史上初めて温暖化防止に努める枠組みが誕生する。1997年に採択した京都議定書に代わる18年ぶりの国際ルールとなる。温暖化の阻止へ世界は歴史的な一歩を踏み出した。
「パリ協定を採択した」。2週間に及ぶ議論を終えた12日夜、議長を務めたファビウス仏外相が木づちを振り下ろすと、ケリー米国務長官や中国の解振華・国家発展改革委員会特別代表、丸川珠代環境相ら出席した各国の閣僚らは総立ちとなり、長い間、拍手が鳴りやまなかった。
パリ協定は法的拘束力のある国際的な枠組みで、世界の気温上昇を産業革命前から2度より十分に低く抑えるとともに、1.5度以内を目指して努力することを目的とする。このため、今世紀後半には人間活動による温暖化ガスの排出量を森林などが吸収する量と均衡する状態まで減らすことを長期目標に定めた。
すべての国・地域は温暖化ガス削減の自主目標を作成し、国連に提出する義務を負う。各国の目標を引き上げるため、2023年から5年ごとに目標を見直し、世界全体で削減状況を検証する仕組みも導入する。温暖化に伴う被害を減らすために世界全体の目標を設定することも掲げた。
途上国への資金支援は、先進国に拠出を義務づけるほか、経済力を高めた新興国なども自主的に出せるとし、具体的な目標額は盛り込まなかった。パリ協定とは別の政治的合意として、年間1000億ドルを下限とする新しい目標を25年までに設けることで決着した。
協定は少なくとも55カ国が批准したうえで、それらの国の温暖化ガス排出量が世界全体の55%に達してから30日後に発効する。次のCOP22は来年11月、モロッコのマラケシュで開かれる。