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被災の観光船「はまゆり」、復元暗礁に 寄付集まらず規模縮小

東日本大震災の津波で岩手県大槌町の民宿屋上に乗り上げた観光船「はまゆり」の復元計画に黄信号がともっている。寄付金を募って復元する予定だったが、必要額の4億5千万円に対し、昨年12月末時点で寄付は約355万円止まり。町の復興事業見直しでは「縮小」と判定され、実現が危ぶまれている。


はまゆりは、隣の釜石市が所有していた全長約28メートル、排水量109トンの観光船。大槌町で検査中に津波に巻き込まれ、海岸線から約150メートル内陸まで流された。水が引いた後、巨大な船体が高さ約10メートルの屋根の上に取り残された光景は津波の猛威を示す象徴となった。


倒壊の危険があるため2011年5月に船を解体したが、「震災の風化を防ぎたい」との住民の要望を受け、町は設計図を基に、新たな建材を使って元の場所に原寸大で再現することを決定。財源として寄付金を充てると条例で定めた。


ところが周知不足もあり、集まったのは必要額の1%にも満たない。同時期に寄付の受け付けを始めた、死者を悼む「鎮魂の森」整備事業が2億3千万円近く集めたのとは対照的で、町総合政策課の担当者は「復興事業が忙しく、PR活動に手が回らなかった」とうつむく。昨年11月に公表した復興事業の見直しでは「実現見通しが立たず、賛同も得られていない」として「規模縮小」と判定された。


町内でも賛否は割れる。地元の赤浜地区では、住民らが「はまゆり復元保存会」を結成した一方で、「復興を優先すべきだ」と反対する人も。船を所有していた釜石市は、被災者の心情への配慮を理由に当初から復元に不快感を示す。事業見直しの「規模縮小」が何を指すかも決まっておらず、町は今後、住民と協議しながら復元の進め方を再検討する方針だ。〔共同〕


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