架空の出張費を計上するなどして政務活動費約913万円をだまし取ったとして詐欺罪などに問われ、昨年11月に予定された初公判を欠席した元兵庫県議の野々村竜太郎被告(49)について、神戸地裁は25日、強制的に出廷させるための勾引状に基づき、身柄を拘束した。26日に改めて開かれる初公判に強制出廷させる。
野々村被告の初公判は昨年11月24日の予定だったが、同被告が「精神的に不安定で出廷できない」などとして欠席したため、延期された。同地裁は今月20日に同被告の勾引状を発付。同地裁によると、同被告は25日午前、神戸地検の指揮で連行された。刑事施設に収容されたとみられる。
刑事訴訟法は、一審公判は被告が出廷しないと原則開廷できないと規定。被告が正当な理由がないのに欠席する恐れがある場合は、勾引状に基づき強制的に出廷させられるとしている。勾引状は被告を24時間拘束する効力があり、必要に応じて刑事施設に留置できる。
勾引状は欠席を繰り返す被告に対して出すケースが多く、1回の欠席で身柄を拘束されるのは異例。同地裁は26日の公判も欠席する恐れが高いと判断したとみられる。
起訴状によると、野々村被告は2011~13年度、架空の出張費や事務用品代などを記載した虚偽の収支報告書を提出し政務費計約913万円を詐取したとされる。計344回の出張が架空とされた。