通信が途絶えているX線天文衛星「ひとみ」について宇宙航空研究開発機構(JAXA)は15日、「衛星の姿勢を制御する機能の設定にミスがあった」と発表した。姿勢を立て直すはずが回転を加速させてしまい、機体の分解につながった可能性があるという。
「ひとみ」トラブル、タイムラインで
ひとみには、星の位置などから姿勢を正常に保つ機能がある。JAXAによると、3月26日午前4時10分ごろから、位置情報の取り込みに失敗し、実際は回転していないのに回転していると衛星が判断した。制止させようと逆回転させる機能が働き、回り始める問題がおきた。
さらに、姿勢を立て直そうとしたところ回転を加速させてしまった。2月の打ち上げ後に再設定した値が誤っていたことが原因という。
JAXAでは、人為的なミスだったかどうかも含め、原因を調べている。久保田孝宇宙科学プログラムディレクターは「電力や通信を確保するための対策を今後も続けたい」と話した。
宇宙空間の物体を監視する米戦略軍統合宇宙運用センターは、ひとみ本体以外に10個の物体があり、そのうちの2個が29日と5月10日に大気圏へ再突入すると予測する。JAXAによると物体は小さく、大気圏で燃え尽きるとしている。(山崎啓介)