クレーンでつり上げられた石材が辺野古の海に投入された=25日午前9時26分、沖縄県名護市辺野古、朝日新聞社機から、堀英治撮影
青い海と、白い砂浜。その波打ち際に、灰色の石が沈められた。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画。政府は25日午前、海の埋め立てを始めた。過重な基地の負担も、県民多数の反対も変わっていない。沖縄には重苦しい空気が広がった。
辺野古移設
特集:沖縄はいま
「あきらめてはいけない。でも、このまま強行するんでしょう。造られてしまうんでしょう」。辺野古のある東海岸から山を越えて西へ十数キロ。名護市のミカン農家、名城政雄さん(69)は埋め立て工事開始の知らせを聞くと、そうつぶやいた。
生まれも育ちも、名護。沖縄電力のグループ企業で役員も務め、選挙があれば移設容認の保守系候補を支援してきた。「会社が応援する候補に投票するだけ。忖度(そんたく)ってやつでした」
しかし、退職後に自治会長になり、初めて地域の将来を真剣に考えた。まちは移設先とされ、二分させられてきた。敗戦して70年も経つのに、なぜ今さら基地のために海や土地を差し出すのか。なぜ、沖縄にだけこれほどの基地を押しつけるのか――。そんな思いが駆け巡った。
「故郷を基地のまちにしたくな…