シリア内戦の戦闘激化について、ケリー米国務長官とデミストゥラ国連シリア担当特使が2日、スイス・ジュネーブ市内で会談した。会談後、ケリー氏は記者団に対し、「(シリアの)紛争は多くの点で制御不能に陥っている」と認め、停戦を回復させるため、米国とロシアがジュネーブに要員を常駐させる新たな仕組みを設けることで合意したことを明らかにした。ケリー氏はその後、ロシアのラブロフ外相と電話会談したほか、デミストゥラ氏は同日夜にも訪ロする。
ケリー氏は、シリア北部アレッポで病院が爆撃されるなどして多くの犠牲者が出ている現状に触れ、「(アサド政権と反体制派の)双方にこの混乱の原因がある」との認識を示した。今後、ロシアとイランがアサド政権側に、サウジアラビアなどが反体制側に影響力を行使して、停戦の回復と、人道物資の十分な配布を実現させるという。
デミストゥラ氏は「新たな停戦を監視し管理するためのよりよい仕組みを準備しつつある。そのためには(関係国の)政治意志が必要だ」と強調した。(ジュネーブ=松尾一郎)