今回推薦されているル・コルビュジエの資産
20世紀を代表する建築家、ル・コルビュジエが設計した東京・上野の国立西洋美術館が、国内20件目となる世界遺産に登録される見通しになった。過去2回の挑戦を経て、「三度目の正直」。文化庁などの関係者は数々の「宿題」をクリアし、道を切り開いた。
国立西洋美術館本館が世界遺産へ ユネスコ諮問機関勧告
今回の勧告の背景にはまず、イコモスと重ねてきた「対話」がある。ユネスコの制度改革を受け、近年は勧告前からイコモスと協議し、その意向を推薦書に反映することが可能になった。
イコモスの評価は、「登録」▽追加情報の提出を求めた上で次回以降の審議に回す「情報照会」▽より綿密な調査や推薦書の本質的な改定が必要な「登録延期」▽登録にふさわしくない「不登録」――の4段階ある。
最初の挑戦となった2009年の推薦書はコルビュジエという天才建築家に焦点をあてたが、イコモスは「世界遺産は人に対して与えられるものではない」と指摘。イコモスは「登録延期」を勧告し、委員会の結論は「情報照会」だった。
再挑戦の11年は、建築学の歴史に多大な影響を与えたことも加えて推薦したが、フランスにある3件しか「顕著で普遍的な価値」は認められず、「不登録」の勧告に対し、結果は「登録延期」だった。