横浜市戸塚区で昨年5月、母親(当時50)と祖母(当時81)を包丁で刺して殺害したとして、殺人罪に問われた少年(16)の裁判員裁判で、横浜地裁は23日、少年を横浜家裁に送ることを決めた。少年は「刑事処分が相当」として家裁から検察官に逆送されており、地裁が家裁に送り返すのは異例。2009年に裁判員制度が始まって以来、殺人罪に問われた被告の家裁移送は初めてとみられる。
母と祖母殺害の罪、少年が認める 横浜地裁の初公判
近藤宏子裁判長は「事件の背景となった被告の未熟さは、成育歴に影響を受けたものであり、被告だけに全ての責任を負わせることは正しいとは言えない」と説明。「被告が更生していくためには、時間や人手を十分にかけ、少年院で個別的な教育を受ける方が効果的だ」と述べた。
検察側は、懲役10年以上15年以下の不定期刑を求刑していた。少年は事件当時、15歳。公判で事件のきっかけや動機について、「知らん」「興味ない」などと話していた。
裁判員の一人は決定後の記者会見で、「被告の受け答えを見て、どう彼を理解していけばいいか悩んだ。自分の罪に向き合い、更生して欲しいという気持ちで今回の決定を選択した」と話した。(前田朱莉亜)