中国主導の新しい国際機関として設立されたアジアインフラ投資銀行(AIIB)は24日、北京で理事会を開き、最初の融資案件として4事業を決めた。アジア4カ国で計約5・1億ドル(約520億円)を貸し出す。アジアでの影響力を高めたい中国の意図ものぞく。
4件のうち3件は他の国際機関と共同融資する。世界銀行とインドネシア向け、アジア開発銀行(ADB)とパキスタン向け、欧州復興開発銀行とタジキスタン向けをそれぞれ手がける。先行する機関と共同で進めることで、既存の金融秩序との融和を強調。一方で、単独でバングラデシュの送配電網の改良事業へ約1・7億ドルを融資することも決め、独立した機関としての存在感も国際社会に示した。融資する4カ国は、中国の打ち出す「二つのシルクロード経済圏」構想で重視する国とも重なる。
今年、本格的に業務を開始したAIIBは、6月末を目指して第1陣の融資決定を急いできた。今年の融資額は計12億ドルに達すると見込んでいる。
AIIBは25日から、参加57カ国の閣僚級を集めて年次総会も開く。金立群総裁は「年内に参加国は100近くに達する」と語っており、新規加盟を認めるルールづくりなどが話し合われる見通しだ。(北京=斎藤徳彦)