イスタンブールの国際空港の到着ロビー入り口付近。窓ガラスに激しい爆発の跡があった=30日、渡辺丘撮影
空港の床には血痕が残り、煙が立ちこめていた――。連続自爆テロがあったトルコのアタチュルク国際空港からの旅客便が6月30日夜、関西空港に到着し、現場に居合わせた観光客が当時の様子を語った。
トルコ空港テロ、犯行はわずか10分間 浮かぶ計画性
28日夜(現地時間)、神戸市の主婦高石百合子さん(68)はフードコートでくつろいでいた。イタリアへのツアーに参加し、帰国の乗り継ぎ便を待っていた。
突然、「バーン」と大きく鈍い音が2回して、叫び声が上がった。瞬間的に「テロだ」と思い、一緒にいた日本人2人と駆け出し、コーヒー店のカウンターの下に隠れた。再び叫び声が聞こえ、人の行き来が激しくなった。店の奥の物入れのような扉を開け、奥行き50センチ、幅1メートルほどのスペースに3人でうずくまり、息を潜めた。「苦しくてのどもかれて、どうなっているか分からないけど、動いちゃだめだと。生きて帰れるか不安だった」
1時間ほどすると、ノックの音がして、警備員が扉を開けた。空港から出るよう促され、ごった返すフロアを歩くと、床にいくつも血痕が見えた。ガラスは割れ、天井の板もはがれかけていた。航空会社が手配したホテルで休み、翌30日未明の帰国便に乗るため、また空港へ。「警備が強化されているから大丈夫と思っても怖くて仕方なく、みんなでまとまって過ごした」。飛行機の席に座ってようやく「ああ、やっと帰れる」と安心したという。(中川竜児)