かつて土石流が起きた現場で防災ジオツアーの構想を練る本塚客員准教授(右)ら=和歌山県那智勝浦町、白木琢歩撮影
5年前の紀伊半島大水害で大規模な土石流が起きた和歌山県那智勝浦町の現場を巡る「防災ジオツアー」を、和歌山大学の研究者らが定着させようと奮闘している。自然の脅威と恩恵を楽しみながら学んで教訓を伝え、悲劇を繰り返さないようにする取り組みだ。
2011年9月4日の大水害で大規模な土石流が多発した那智川流域。山間部に、マグマからできた「火成岩体(かせいがんたい)」が分布する。柱状の割れ目が風化して大きな岩塊(がんかい)をつくりやすく、土石流が昔から起きてきた。
同町を含む紀伊半島南部の9市町村は14年、日本ジオパーク委員会から「南紀熊野ジオパーク」に認定された。ジオパークは貴重な地質や地形を自然公園とみなすもので、世界遺産の「那智の滝」を始め、特徴的なポイントが「ジオサイト」に設定されている。
この土地が持つ土砂災害のリスクと、風光明媚(ふうこうめいび)な景観は表裏一体だ。そこで和歌山大学災害科学教育研究センターが、ジオサイトと水害被災地を生かした防災教育を検討。本塚智貴(もとづか・ともき)客員准教授(33)を軸にツアーを準備し、那智川流域では去年初めて実施した。今年も12月開催を準備する。
ツアーの「目玉」の一つが、那…