「ゲノム編集」の応用例
遺伝子の働きを効率良く操作できる新技術「ゲノム編集」の関係者が集う日本ゲノム編集学会の第1回大会が6日、広島市で始まった。医療や農作物、家畜などへの応用が期待され、世界的な開発競争が始まっているが、日本は欧米や中国に後れをとる。分野を越えた情報交換や産学連携を進め、巻き返しを図る。
5日夕に開いた記者会見で学会長の山本卓・広島大教授(分子遺伝学)は「重要な技術になることは間違いない。海外に後れをとっている面もあり、国内技術の開発を推進していきたい」と語った。
ゲノム編集は、遺伝子を狙った部分で切ったり、置き換えたりする技術。細胞内の遺伝子の特定の場所に結合する性質をもったRNA分子とDNAを切断する酵素を組み合わせた「CRISPR/Cas9(クリスパー/キャス9)」が2013年に米国で開発され、急速に普及している。放射線を照射して人為的に突然変異を起こす従来の品種改良や遺伝子組み換え技術に比べ、飛躍的に効率がいい。
簡単に操作でき、コストも安いため、欧米や中国では、すでに企業が参入して農作物や家畜の性質を改良する研究開発が進む。ゲノム編集を利用してエイズやがんを治療する臨床研究や、マラリアの病原体を運ばないような蚊の研究開発も進んでいる。
大会ではこの日、ゲノム編集を…