旗手の上地結衣を先頭に入場する日本選手団=7日午後7時52分、ブラジル・リオデジャネイロのマラカナン競技場、金川雄策撮影
車いすに立てた日の丸が、風にはためいていた。大歓声に包まれ、旗手の上地結衣〈かみじゆい〉(22)が車輪をこいで、日本選手団の先頭で開会式の競技場に入ってきた。笑顔で、何度も何度も手を振った。「憧れの舞台で、日本の選手団を先導できるなんて光栄です」
リオパラリンピック
リオパラ日程・記録
車いすテニスの女子シングルスの世界ランクは2位。15歳から英国などを転戦し、数々の栄光を手にしてきた。それでも、パラリンピックは特別な場所だ。「競技を始めた頃からの目標で、早くから意識していた」。ロンドンに続く2度目の出場。海外に関心が強く、人なつっこい上地にとって、4年に1度、競技の枠を超えて世界中のパラアスリートと交流できる大切な場所である。絆を深め、挑戦する勇気をもらうことで、成長を感じている。
生まれつき両足の感覚がないが、10歳までは装具をつけて歩くことができた。友達と縄跳びやプールなどで遊び、「できない」と思うことはなかった。だが、成長とともに、周りのみんなと比べて、できないことが増えていった。「登下校でついていけず、その時に私は歩けないんだ、と。すごく悔しかった」
小学校4年から車いす生活に。…