髪をふりみだし歌い上げる「露天商 心詩」=8月6日、大阪市中央区、滝沢美穂子撮影
シャ乱Qやコブクロなど、多くのミュージシャンを生み出した大阪の路上で20年以上、弾き語りを続ける男性がいる。今年で還暦。白髪交じりの長髪を振り乱し、かきむしるギターの音は激しく、切ない。
「アアアアーー、アア!」。大阪市営地下鉄「心斎橋駅」。人々が行き交う構内で、英国の伝説的ロックバンド「レッド・ツェッペリン」の「移民の歌」を歌う男性がいた。
ギターの弦をはじきながら、甲高い声を絞り出す。
ビートルズの「レット・イット・ビー」、ローリング・ストーンズの「サティスファクション」、世良公則&ツイストの「あんたのバラード」……。
1960~80年代の洋楽と邦楽のロックが中心だ。洋楽の曲には自作の日本語の詞をのせ、1時間ほど熱唱した。ギターの弦を3本切る、激しい演奏だった。
男性の名前は「露天商 心詩(しんじ)」(59)。大阪市などが2006年度につくり、現在NPO法人が運営する「大阪パフォーマーライセンス制度」の登録ミュージシャンとして、心斎橋駅やJR大阪駅前など許可された場所で月数回、路上ライブをしている。
「売れたやつは路上を卒業して…