指定暴力団極東会系の組員に多額の現金を脅し取られたとして、聴覚障害者27人が極東会の松山真一元会長ら3人に対し、総額約1億9940万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が29日、東京地裁であった。山田真紀裁判長は、暴力団対策法などに基づいて、松山元会長に代表者としての賠償責任があると認めたうえで、松山元会長らに約1億9720万円の支払いを命じた。
原告の代理人弁護士によると、暴対法に基づき、暴力団組員の資金獲得行為で代表者の責任が認められた判決は初めてとみられる。暴対法は2008年に改正され、恐喝やみかじめ料の徴収など「暴力団の威力を利用した資金獲得」に対し、代表者の責任を問えるようになった。
判決などによると、原告は08~10年、聴覚障害のある組員らから出資話を持ちかけられてだまされたり、「金を用意しなければ殺す」などと脅されたりして、計約1億8千万円を取られた。判決は、組員が自ら暴力団組員であることを示して原告に金を要求したケースについて、「暴力団の威力を利用した資金獲得行為にあたる」と認定。暴力団の威力を利用したとは言えない詐欺行為などについても、「組員らは極東会の事業の一環として資金を獲得し、上納していたとみられる」として、松山元会長に民法の「使用者責任」があると判断した。