シシ肉の灰干しの試作を指導する干川剛史教授(中央)=熊本県南阿蘇村河陽
噴火した阿蘇・中岳(熊本県)の火山灰が人々の生活や農業に影響を及ぼすなか、その灰を集め、活用しようとしている人がいる。大妻女子大学人間関係学部(東京都多摩市)の干川剛史(ほしかわつよし)教授(55)=社会学専攻=だ。「灰干し」と呼ばれる肉などの干物を作り、半年が経った熊本地震の復興に向けた特産物にしようと、準備を進めている。
灰干しとは、魚や肉などに塩をかけ、水分を通すラップで巻いて火山灰で覆って水分を吸い取らせ、1~3日間、寝かせて干物にする方法。うまみ成分が濃縮されるだけでなく、火山灰の脱臭効果で臭みが取れ、陰干し状態になるため脂成分が残り、軟らかな食感になるという。東京・築地で高級干物として売られ、鹿児島では桜島の灰で干した魚を使った弁当が人気だ。
干川教授は1995年1月の阪神大震災以来、様々な災害の支援に関わってきたが、2000年夏に噴火した東京・三宅島の避難指示解除後、懇意にしている地域再生の専門家に「火山灰を使った支援はできないか」と声を掛けられた。未知の分野だったが興味が湧き、地元の漁師と灰干しの試作を始めた。11年、輸送費が割に合わず浜に捨てられていたサメなどを使った灰干しを商品化した。
宮崎県の霧島連山・新燃(しん…