韓国の朴槿恵(パククネ)大統領は25日、緊急記者会見を開き、側近の民間人女性に意見を聞くために大統領府の資料を渡していたことを明らかにし、謝罪した。大統領自ら公文書を流出させていた形で、野党は一斉に反発。支持率が就任後、最低水準に落ち込む中、いっそう厳しい状況に追い込まれた。
側近の女性はチェ・スンシル氏。1974年に朴氏の母親が暗殺された後、親しくなり、朴氏を支えていたとされる。韓国メディアはチェ氏を「陰の実力者」などとしている。
韓国のテレビ局JTBCが24日、チェ氏のパソコンを入手し、ファイルを分析した結果、南北統一構想などに関する朴氏の演説文など44件を発表前に受け取っていたとスクープ。ほかの韓国メディアもこれを引用する形で報じた。
朴氏は25日、チェ氏について「困難な時に助けてくれた縁」とし、大統領選の際、演説などが国民にどう伝わっているか助言を受けていたと説明した。2013年に就任した後も一定期間、一部の資料について意見を聞いたことを認めた。
チェ氏をめぐっては、スポーツなどの財団を私物化したといった疑惑も出ている。朴氏は謝罪することで、いったん幕引きをはかろうとしたとみられる。
しかし、大統領府の文書流出は「大統領記録物法」で禁じられている。憲法の規定で大統領は在職中、刑事訴追を受けないものの、野党側は朴氏の謝罪は「納得できない」などと批判。流出経路やチェ氏との関係などについて、さらに詳しい説明を要求している。(ソウル=東岡徹)