米政府は3日、環太平洋経済連携協定(TPP)が発効せず、日中などが進める貿易協定が先に発効した場合、米国の日本への輸出が不利になり、約500万人が影響を受けるとの試算を公表した。具体的な数字で影響を示すことで、米議会に早期のTPP承認を促した。
米政府は、日中韓や東南アジア諸国など16カ国で交渉を進めている東アジア包括的経済連携協定(RCEP)がTPPより先に実現した場合の影響を試算。日本市場に低い関税で輸出できるようになる中国製品に押され、RCEPに参加していない米国の農産品などの輸出に影響が出るとした。
米通商代表部(USTR)のフロマン代表は3日の電話会見で、米国内で懸案となっているバイオ医薬品のデータ保護期間について「議会側と良好な協議を続けており、解決できると期待している。TPP法案提出の時期も議会側と調整しており、年内の承認をめざす」と話した。
オバマ政権は、大統領選後から次期議会が始まる来年1月までの「レームダック(死に体)」期間のTPPの議会承認をめざす。だが、大統領選では、民主党のクリントン、共和党のトランプ両候補がTPPに反対しており、承認の見通しが立っていない。(ローリー〈米ノースカロライナ州〉=五十嵐大介)