3時間以上遅れて着いた新幹線から帰省客らが次々と降り立った=29日午前2時50分ごろ、JR仙台駅、加藤秀彬撮影
JR東日本によると、東北新幹線は28日午後10時40分すぎ、郡山―福島駅間の風速計が規制値に達したため、郡山―仙台駅間で運転を見合わせた。風はその後弱まり、29日午前1時56分に運転を再開したが、上下線計4本が最大3時間41分遅れ、約2千人に影響した。
遅れは帰省客らを直撃した。仙台駅では29日午前2時半ごろから3本の下り列車が3時間以上遅れて到着。スーツケースや土産袋を持った客らが迎えに来た家族らと再会を喜ぶ一方、疲れた様子でベビーカーで眠る子どもや、駅員にタクシー代を求める客もいた。駅員らは謝りながら、乗客に水とパンの缶詰を手渡した。
仙台市の実家に帰省する横浜市の会社員及川侑華さん(24)は「最初は30分くらい止まると聞き、すぐ動くと思ったけど、何度も延びた。眠かった」。駅でタクシーは捕まらず、母親の迎えを待った。
名古屋から仙台市青葉区の実家に帰省する会社員女性(26)も「止まった車内では『風がなければ出発できる』とのアナウンスが何度か流れた。一方で『もうしばらくお待ちください』と繰り返し言われ、疲れた。帰って早く寝たい」。
終電で栃木から帰省予定だった大学生の次女を迎えに来た仙台市青葉区の狩野安則さん(61)は、午後11時ごろに次女からLINEで「風で新幹線が止まった」と報告を受けたという。「飯を食わずに乗ったから、腹が減ってんじゃないか」と娘を気遣った。
宇都宮から日帰りの予定だった仙台市泉区のタクシー運転手山田慎一郎さん(44)は「まさか風で止まるとは。早く家の布団で寝たいけど、きょうは帰れないから列車に泊まるしかないかな。くたびれたね」と眠い目をこすった。
JR東日本では、仙台駅から目的地までの電車に乗りそびれた客向けに、仙台駅で新幹線2編成を「列車ホテル」として開放。始発を待つ乗客ら約200人が利用したという。
乗客らによると、列車が止まっている間も暖房や電灯はついていた。多くの乗客は寝たり、スマートフォンをいじったりしていたという。(山本逸生 加藤秀彬)