優秀賞に輝いた中村さんの作品=写真家のマツモトカズオさん撮影
福岡県を代表する伝統工芸品の博多人形。若い感性で表現の幅を広げる人形師、中村弘峰(ひろみね)さん(30)=福岡市中央区=の作品が先月下旬、国際公募展「2017金沢・世界工芸コンペティション」で大賞に次ぐ優秀賞に輝いた。「遊び心」で新旧の粋を融合させた技が世界の舞台で認められた。
「世界工芸都市宣言」のまち、金沢市で3年に一度開催される展覧会「金沢・世界工芸トリエンナーレ」。3回目の今年、「新しい時代を予感させる作品を」と初めて公募制にしたところ、中村さんの作品を含め、25カ国・地域から567点の応募があった。
受賞した人形の作品名は「The Otogi League Allstars:Momotaro」。野球の捕手姿の奇抜な桃太郎で、2年前に遊びで作り始めて好評だったという野球選手シリーズ。今回の桃太郎は高さ約55センチと、このシリーズでは最も大きい作品だ。
「息子の五月人形のつもりで作ったんです」と中村さん。長男の桃伯(とうはく)くんはもうじき2歳になる。親心に加えて「現代アートと伝統工芸をミックスした超ハイカラな五月人形にしようと思った」。メジャーリーグの捕手が身につけている最新のマスクを参考にするなど、細部にこだわった。
一方で、意識したのは人間国宝…