三回表履正社1死一、三塁、安田は右越え3点本塁打を放つ=角野貴之撮影
(15日、明治神宮大会高校の部・決勝 履正社11―6早稲田実)
履正社が初優勝、早稲田実との打撃戦制す 明治神宮大会
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どちらからともなく、2人の主砲が歩み寄った。
「ナイスバッティング」。試合後の整列で早稲田実の清宮が声をかける。履正社の安田も、笑顔で言葉を返した。「やっぱり、すごいな」
豪快な競演だった。
一回に清宮が高校通算76号となる先制アーチを右翼席へかけた。三塁の守備位置からそれを眺めた安田は、自らの心の変化を感じた。「清宮を意識しないようにと思っていたけど、燃えるものがありました」
たぎる心をバットに込めたのは同点の三回だ。1死一、三塁で初球をとらえた。「誰よりも飛ばしたい」という信念を持つ左打者の打球は、清宮の一発よりも遠くへ。高校通算44号は右翼席中段まで届く勝ち越し3ランとなった。
これまで同学年の打者を意識したことはなかったという。今夏の全国選手権では2年生ながら4番。秋以降、相手の攻めは厳しくなった。今大会は準決勝までの3試合で1安打だけ。そんな中、「刺激になった」と初めて意識したライバルの存在が、安田を目覚めさせた。
打撃戦を制して頂点に立っても、慢心はない。「レベルは清宮の方が上。冬にパワーアップして、春も夏も優勝できるように頑張りたい」。履正社も早稲田実も、来春の選抜大会出場は決定的。戦いの場を、春の甲子園にうつす。(山口史朗)