大阪桐蔭・徳山
(29日、高校野球大阪大会 大阪桐蔭8―4履正社)
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「バッテリーの大きな勝利です」。大阪桐蔭の西谷監督が試合を振り返って言った。三回に一挙3点を取られて逆転されても、ヒットを10本打たれても、大阪桐蔭のエース徳山が崩れることはなかった。
準々決勝までの6試合で66得点。絶好調の履正社打線を相手に意識したのは、「どれだけ低めに集められるか」という一点。一回1死一塁で迎えた3番安田との最初の対戦で、手応えをつかんだ。
2球目。内角高めの直球に安田はものすごいスイングを見せた。真後ろに飛ぶファウル。だが、これを見て弱気にはならない。「どれだけ突っ込んでいけるか」と攻めの姿勢を持ちつつ、「外角が見えてなさそう」と冷静さもあった。3球目。外角低めの直球で空振り三振に仕留めた。
思えば、履正社との対戦はいつも、自らに悔しさを与えてくれた。
新チームになって、昨秋の大阪府大会は安田に本塁打を浴びて負けた。「気持ちのコントロールができず、精神面で負けていた」。今春の選抜決勝で履正社にリベンジはできたが、八回に打たれて完投はさせてもらえなかった。だから、この日は「点を取られてもその後は抑える。絶対に投げ切る」という思いが、背番号1を奮い立たせた。
新年初練習となった1月4日。「絶対的なエースになる」という誓いを立てた。チームには、140キロ台を投げる投手が6人いる。それでも、今、ここ一番を任せられる投手は徳山しかいない。この一戦に向け、27日の準々決勝は柿木、根尾の2年生投手2人が「徳山さんが投げなくていいように頑張ります」と踏ん張ってくれた。
「あれで気持ちに火がつきました」。五回には高校通算2本目となる同点本塁打を放ち、自らを救う。そして、七回以降は1点も許さなかった。
技術も精神もたくましくなったことを証明した履正社との3度目の対決。エースは汗をぬぐいながら、宣言した。
「明日の決勝も、投げ切ります」(山口史朗)