県民の歌について質問する加藤勇県議=県議会
60年以上前の島根県の人口を盛り込んだ県民の歌は、時代遅れなのではないか――。そんなやりとりが6日、県議会11月定例会であった。県議が知事や部局長らに一問一答の形で質問する場で、加藤勇県議が投げかけた。
広聴広報課によると、県民の歌は1951年、サンフランシスコ講和条約の締結を記念して制定。歌詞は公募で選んだ。当時の県人口を盛り込み、3番の歌詞で「九十万の県民の 平和の歌は今ぞ湧く あゝやすらけきわが島根」とある。
県民の歌は、県の表彰式や国体に出場する県選手団の結団式のほか、県外で開かれる県人会などで歌われるという。県教委は県民としての誇りを持つ児童の育成のため、2002年度から、県内すべての公立小学校1年生に歌詞などが書かれたリーフレットを配布。15年度からは全ての公立中学校1年生に配っている。
ただ、県人口は国勢調査で1950年に90万人を超えたが、55年の92万9066人をピークに減る一方で、昨年は69万4352人と初めて70万人を割った。
県は昨年、人口減少に歯止めをかけ、地方創生を目指すために総合戦略を策定。将来の人口予測を2040年に55万人、60年に47万人との試算を示した。
加藤県議は県民の歌に数字が入っていることに「違和感がある」とし、「本当に島根に90万人がおったか、という質問を受ける」と紹介。総合戦略の策定で「新しい時代に向けて、島根県はかじを切った」と述べ、溝口善兵衛知事に「将来の方向性を出した今が、県民の歌を変える時期ではないか。知事が主導で県民の歌を変えるという、強いリーダーシップを発揮してほしい」と求めた。
知事は「県民の機運の高まりがあってこそ変えるべきだ。今の時点ではそんな声はあまり上がっていない。機運が高まれば、県民の声をよく聞いて考えたい」と答えた。(石川達也)