保育士の職種別給与(月額)
厚生労働省は、私立の認可保育所で働く保育士向けに、来年4月から新たな役職を設ける方針を固めた。勤続7年以上になる中堅保育士が対象で、毎月の給与に4万円を上乗せする。人材不足が深刻な保育士の離職を防ぐ狙いがある。公立保育所や認可外保育所には適用されない。
私立の認可保育所の給与は公定価格に基づき勤続年数に応じて毎年5~16%加算されるが、勤続11年で頭打ちになる。一般的な保育所には園長と主任保育士がそれぞれ1人ずついるが、それ以外の保育士については役職に応じた増給ができにくい仕組みだ。そのため他の職種との賃金格差が生じる一因となっている。
そこで、月給に4万円を上乗せできるポストとして、主任保育士に次ぐ役職の「副主任」と、保育に必要な高い専門性を身につけたリーダー職を創設。7年以上の勤務経験があり、厚労省が指定する研修を修了した保育士を対象とする。副主任やリーダーを配置できる人数は、保育所の規模に応じて決める。研修では、障害児保育や食育、保健衛生といった専門6分野や、組織マネジメントについて学ぶ。
職務経験3年以上の若手職員についても、専門分野の研修を修了した場合に月5千円程度を上乗せする。調理員らの待遇も改善させる方針。財源は計約1千億円程度とみられ、来年度予算案に盛り込むため年末までに財務省と調整する。(伊藤舞虹)