11月29日、ソウルの大統領府(青瓦台)で会見する韓国の朴槿恵大統領=AFP時事。一連の疑惑をめぐって3度目の国民向け談話を発表し、謝罪した
韓国国会は9日、朴槿恵(パククネ)大統領(64)の弾劾(だんがい)訴追案を採決し、賛成234票、反対56票で可決した。野党3党に加え、与党セヌリ党の一部も賛成に回った形だ。朴氏の大統領権限は停止され、黄教安(ファンギョアン)首相(59)が代行する。今後、憲法裁判所が180日以内に弾劾するか決める。弾劾が決まれば朴氏は大統領職を罷免(ひめん)され、60日以内に大統領選が行われる。
韓国大統領の弾劾訴追、12年前にも 当時を知る記者は
検察の捜査で、朴氏は支援者のチェ・スンシル被告らと共謀し、財閥企業に財団への資金拠出を強要したなどと認定された。野党側が3日に弾劾訴追案を提出していた。
大統領に対する弾劾訴追は、国会議員の3分の2の賛成が必要で、議員300人のうち、200人以上の賛成で可決する。野党3党と無所属を合わせると172人で、与党から28人以上の賛成が必要だった。
憲法裁判所は所長を含め9人で構成され、大統領の弾劾決定には6人以上の賛成が必要になる。
韓国で大統領の弾劾訴追案が可決したのは2004年の盧武鉉(ノムヒョン)大統領に続いて2例目。このときは憲法裁が盧氏の違法行為は認めたものの、辞めさせるほど重大ではないと判断して弾劾訴追を棄却している。
朴氏は11月29日、「大統領職の任期短縮を含めた進退問題を国会の決定に委ねる」と述べていた。今月6日には、来年4月に辞任するという与党案を受け入れ、国会で弾劾訴追案が可決された場合は憲法裁の判断を待つ考えを示した。
朴氏の進退をめぐっては、辞任を求める集会が10月29日から6週連続で土曜に開かれ、12月3日にソウルであった集会には警察推計で過去最多の32万人(主催者発表170万人)が集まった。
韓国の調査機関「リアルメーター」が12月5~6日に実施した世論調査では、弾劾に「賛成」が78・2%。圧倒的な世論を前に、与党では弾劾訴追案の採決を欠席したり、反対票を投じたりするのが負担になっていた。(ソウル=東岡徹)