東京工業大の三島良直学長は11日午後(日本時間同日夜)、滞在先のスウェーデン・ストックホルムで報道各社の取材に応じ、大隅良典・栄誉教授(71)のノーベル医学生理学賞の受賞を記念して、若手の基礎研究者を支援する基金「大隅研究基金」(仮称)を設立する方針を明らかにした。来年3月までの設立を目指すという。
大隅さん、晴れの舞台 ノーベル賞授賞式
大隅さんもノーベル賞の授賞式から一夜明けた11日朝の代表取材で、「賞金の一部を東工大の基金に充てたい」と話した。
三島学長によると、基金は今のところ数千万円の規模で、年に10人程度への支給を想定。企業や個人からも寄付を募る。対象は東工大の若手の基礎研究者で、論文発表などの業績にかかわらず、独創性の高い研究に取り組めるようにすることを目指す。
大隅さんは10月にノーベル賞受賞が決まった直後、賞金で若手の研究を支援したい考えを示していた。これまで講演などでは、短期間に成果を求める傾向が強まり、基礎研究が研究費を確保しづらくなっていると繰り返し訴えていた。
三島学長は「役に立つかどうかわからないけども、おもしろいことが大隅先生の描く基礎研究。大学としてもその思いに応え、しっかり役割を果たしたい」と語った。三島学長は、大隅さんとともに授賞式などに参加するためにストックホルム入りをしている。(ストックホルム=南宏美)