(8日、神戸2―0大宮)
左からのグラウンダーのクロスに、走り込みながら左足を合わせた。ボールは、キーパーの脇を抜けてゴールへ。
前半37分、神戸の先制点を決めたのは、19歳のMF中坂だ。後半8分には、22歳のDF岩波が追加点。敵ゴール前付近でのロングスローのこぼれ球を競り合う中、右足で蹴り込んだ。
勝利の立役者となった2人は、ユース出身の期待の若手だ。ここに、首位に立つ神戸の強さがある。
今季はJ1初のタイトル獲得を目標に、大型補強で話題をさらっていた。欧州でプレーしたFW田中順、元日本代表のボランチ高橋秀らを獲得。夏には、元ドイツ代表FWポドルスキも合流する。
ただし、ネルシーニョ監督は、若手にもアピールの機会を必ず与える。開幕前、中坂に告げていた。「チャンスは少なくなるが、準備を怠るな」。中坂は紅白戦にも出られない日々が続いたが、前節の浦和戦で今季初めてピッチに立って得点。この日もゴールに加え、持ち前のキープ力で好機を演出した。
中坂はいう。「結果を残せば、また使ってくれる監督ですから」。この日、体を張った守備で無失点勝利に貢献した岩波はリオデジャネイロ五輪の代表。出場はなかったが、DF藤谷は20歳以下代表だ。激しいポジション争いで、もまれた若手の成長とともに、チームは上昇曲線を描いている。(岩佐友)