厚木基地騒音訴訟の判決が言い渡された最高裁第一小法廷。主文だけでなく要旨も告げられた=8日午後、東京都千代田区、恵原弘太郎撮影
最高裁が民事裁判の判決を言い渡す際、「上告を棄却する」といった主文だけではなく、判断の理由を示した要旨を法廷で読み上げる取り組みを始めた。当事者や傍聴に来た人たちへのわかりやすさを意識したものだ。
「原判決中、上告人敗訴部分を破棄し、同部分につき第一審判決を取り消す」。12月8日、厚木基地(神奈川県)の騒音をめぐる訴訟の判決で、最高裁第一小法廷の小池裕裁判長がまず、主文を告げた。
これだけでは、法律家でない限り、住民の訴えが認められたのかが分かりにくい。小池裁判長は主文に続けて「自衛隊機を飛行させることが、著しく妥当性を欠くと認めることは困難」などと理由を述べ、住民が敗訴したことが分かった。
刑事裁判では判決の際、主文と要旨を言い渡すことが刑事訴訟規則で定められている。一方、民事裁判では、判決時に当事者や代理人に出席の必要がないこともあり、要旨の言い渡しは定められていない。地裁や高裁では裁判官の判断で、注目が高い事件などで要旨を告げることがあるが、最高裁では、15人の裁判官全員で審理する大法廷を除き、主文だけを言い渡すのが慣例だった。「分かりにくく不親切だ」との指摘は以前からあったという。
このため、最高裁判事らが協議…