(20日、大相撲初場所13日目)
東十両3枚目の宇良が、ご当地の春場所での新入幕に近づく10勝目。優勝争いでもトップに並んだ。
得意の反り技を繰り出した。相手は自分より身長で12センチ、体重で74キロも大きな天風。立ち合いで左を差された宇良は、勝負に出た。はね上げられた右腕で相手の左腕を抱える。その腕をくぐるようにして腰を落とし、体を反らせた。前に出てきた天風の巨体は、宇良の頭上を滑るようにして土俵に落ちた。流れるような技に、国技館は沸いた。決まり手が「たすき反り」と発表されると、再び観衆がどよめいた。
「そもそもそういう予定じゃなかったんですけど、急な変化に対応できました」と宇良。1955年夏場所に日本相撲協会が決まり手を発表するようになってから、十両以上で「たすき反り」が決まったのは初めて。宇良自身、アマチュア時代も決めたことはないという。「名前が残ればうれしいですけどね」。業師は控えめに喜びを口にした。