国営諫早湾干拓事業(長崎県)の開門問題をめぐる和解協議で、長崎地裁は27日、2度目の和解勧告を出した。国が提案した100億円の基金に加え、国が上積みする和解金などを諫早湾周辺に特化して充てる内容。ただ開門しないという前提は変えていない。
勧告で地裁は、基金の運営を担う想定の有明海沿岸4県(佐賀、長崎、福岡、熊本)の漁業団体と県のうち、基金案の受け入れを唯一拒否した佐賀側について「完全に拒否する趣旨ではなく、基金案が実現不可能ということはできない」との認識を示した。
そのうえで、福岡高裁が開門を命じた2010年の確定判決に従っていない国が原告45人に1日あたり計90万円を支払っている間接強制金に加え、国が一定の和解金を基金に加えることを提案。福岡高裁の確定判決が干拓事業による漁業被害を認めた諫早湾周辺地域に特化した基金の枠を新たに設け、充当するのが相当とした。和解金の額は「将来の一定期間分の間接強制金相当額が一つの目安」とした。
国はこれまでに計7億1190…