大阪桐蔭―秀岳館 七回裏、投手徳山のもとに駆け寄る捕手福井=細川卓撮影
(30日、選抜高校野球 大阪桐蔭2―1秀岳館)
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大阪桐蔭の捕手福井は三回、2死一塁で仕掛けられた二盗をぴしっとアウトにした。四回も同じ。1死一塁。秀岳館の4番広部を迎えて気を回さなければならない中で、二盗を阻んだ。
「足を封じないと相手がリズムに乗る。絶対刺したろ、と思った」と福井。強打の秀岳館に対し、チームの狙いは粘って後半勝負だった。前半でかき回されるわけにはいかない。
福井は元々捕手だが、背番号3。マスクをかぶっているのは、レギュラーの岩本が2月に左手首を負傷したからだ。肩は岩本より弱い。だからなおさら、つけ込まれてはならなかった。速い投球動作で福井を助けたマウンドの徳山も「大きかった」と、続けざまの二盗阻止に感謝だ。
「どの打者も気を抜けなかった」とバッテリーは口をそろえた。秀岳館は早いカウントから振ってくる。「単打OK、とにかく低めに、と徳山と話した。コースにしっかり投げ込んでくれました」。終わってみれば長打は許さず、秀岳館の爆発力を封じていた。
福井の必死さは七回にも映し出された。遊撃失から招いた1死一、三塁のピンチ。バックネットすれすれの飛球を臆せず捕った。この回を切り抜けた直後、貴重な2点目が入った。
ベンチに戻れば記録員で入っている岩本の助言を受け、配球に生かした。「岩本の気持ちが乗り移っているといえば、いい過ぎかもしれないが、最高の形でバトンを渡したいんです」。人のためにと考えたとき、人は力が湧くものだ。(隈部康弘)
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○山田(大) チームの全打点を挙げる。「手首を鍛えてきた成果。しっかりとバットを振った結果。(履正社に)秋負けているのでリベンジしたい」