昨夏のリオデジャネイロ五輪男子100メートル平泳ぎ予選で世界記録を更新したアダム・ピーティ
平泳ぎの世界最速男が東京にやってきた。19日に開幕する競泳のジャパンオープン(東京辰巳国際水泳場)に、男子50メートルと100メートル平泳ぎの世界記録を持つアダム・ピーティ(英)が出場する。大会では、世界記録更新もさることながら、別の目的もありそうだ。
ピーティは昨年のリオデジャネイロ五輪で100メートル平泳ぎを57秒13の世界新記録で制した。2位を1秒56も引き離す圧倒的な速さだった。今年の世界ランクでも57秒79の1位だ。
公式練習があった18日、今大会で世界記録が出るかという質問に対し、ピーティは「出たらうれしいサプライズだよ。その予定はない」と笑顔でかわした。「でも、57秒1を出したし止まらないよ。まず56秒台を出したい」
さらに、見据えるのは東京五輪だ。「日本に滞在してレースができるのは新しい経験になる」。3年後の「本番」に向け、東京に慣れておこうという狙いも透けて見える。「タイムよりもどういうレースができるかが大事。先週、タイで厳しい練習をしたから調子はいい」と話した。
初日の100メートルはハイレベルな争いになりそうだ。日本選手権3冠の小関也朱篤(やすひろ、ミキハウス)は「世界選手権(7月、ハンガリー)の前哨戦になる」と位置づける。身長193センチで、ピーティ同様に背が高い200メートルの世界記録保持者、渡辺一平(早大)は「自分と同じくらいの身長なのに抵抗が少ない。隣で泳いで参考にしたい。わくわくしています」と短距離が得意な相手から学ぶものがあると予想した。(増田啓佑)