日中、ハチ(左)を預かるたばこ店の長谷川香さん=水戸市役所
額にまゆ毛のように見える八の字模様があり、幸運を呼ぶ猫として話題になった水戸駅近くの宮下銀座商店街の看板猫「ハチ」の本が、このほど出版された。ハチが「アルバイト」をする糸久たばこ店の長谷川香さんが23日、同市に10冊を寄贈した。
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ハチは東日本大震災の翌月、2011年4月生まれの白いメス猫。宮下銀座にある編集プロダクションの事務所で飼い始め、平日の日中は長谷川さんの店に預けるようになった。
東日本大震災後、宮下銀座では建物被害の影響で廃業する店が相次いだ。「商店主もお客さんも元気がなかった。そんなとき、ハチのユーモラスな『まゆげ』は、出会う人すべてを笑顔にしてくれた。それは魔法のようだった」。プロダクション関係者は振り返る。
たばこ店に宝くじを買いに来る客などから「末広がりの八の字のまゆは縁起が良い」と評判となり、テレビ番組でも全国放送された。今では験を担いで、合格祈願の受験生や就職活動中の学生が会いに来るほどの人気だ。
3月に集英社から出版された本のタイトルは「こまり顔の看板猫! ハチの物語」(税込み691円)。児童書作家の西松宏さんが取材と執筆。ハチの脱走事件や兄弟姉妹のその後など、知られざるエピソードを詰め込んだ。
市は今回寄贈された本を、地元の市立三の丸小や市立第二中、市立図書館などに置いて活用する。