将棋の史上最年長棋士、加藤一二三(ひふみ)九段(77)が20日、東京都渋谷区の将棋会館で行われた対局に敗れた。名人など数々のタイトルを獲得した名棋士が、約63年間の現役生活に幕を閉じた。
相手は新鋭の高野智史四段(23)。対局は午前10時に始まった。先手の加藤九段は得意戦法の「相矢倉」を採用したが、高野四段の正確な対応で苦戦に陥り、敗れた。
加藤九段は1月、名人戦につながる順位戦で一番下のクラスからの陥落が確定し、引退が決まった。その後、他のタイトル戦の予選などでも相次いで敗退。この日の対局は竜王戦の6組昇級者決定戦。一つ上の5組への昇級を争うトーナメントで、勝てば現役を続けられたが、及ばなかった。
1954年、史上最年少(当時)の14歳7カ月でプロ入り。58年、名人挑戦権を争うA級順位戦に史上最年少の18歳で昇級した。82年に名人を奪取したほか、タイトルは通算8期獲得している。2505対局、1180敗は歴代1位。1324勝も歴代3位だ。
昨年末、藤井聡太四段(14)のデビュー戦で対戦し、62歳差の対決として話題になった。77歳になった今年1月、史上最年長棋士となり、史上最年長勝利も記録した。最近はバラエティー番組の出演が相次ぎ、「ひふみん」の愛称で親しまれている。(村瀬信也)