将棋で町おこしを狙う主な自治体
将棋界の公式戦最多連勝記録を達成した中学生棋士、藤井聡太四段(14)の活躍で、将棋で町おこしを狙う全国の自治体が盛り上がっている。将棋教室は「次代の藤井聡太」を目指した子どもたちであふれ、指導員の足りない教室も。健康づくりに将棋を生かす研究をスタートさせる自治体もある。列島は今、将棋ブームに沸いている。
■教室に申し込み続々
藤井四段の30連勝のかかった対局があった今月2日、兵庫県加古川市の「かこがわ将棋プラザ」では、市在住で日本将棋連盟常務理事の井上慶太九段(53)の将棋教室が開かれていた。対局の盤面を紹介し、「次の手がわかる人?」と問いかけると、子どもが一斉に手をあげた。
初めて訪れた同県稲美町の小学2年、清水裕斗君(8)は「藤井四段はすごい。僕も強い棋士になりたい」。井上九段は「一過性のブームに終わらせず、地域の子どもたちみんなが将棋のルールを知っているようにしたい」と話した。
市は、久保利明王将(41)や今年の名人戦に挑戦した稲葉陽(あきら)八段(28)らプロ棋士たちのゆかりの地であることから「棋士のまち」とアピール。5月、JR加古川駅前の商業ビル内に「かこがわ将棋プラザ」をオープンし、初心者向けの将棋教室には小学生の申し込みが相次ぐ。井上九段や神吉(かんき)宏充七段(58)が指導する教室もプラザに移った。神吉七段は「いろんなタイプの棋士が次々に誕生した加古川は『将棋の聖地』になると思う」。
市は2011年に若手棋士向けの「加古川青流戦」を創設。地元では、今年10月に市内の鶴林寺で予定される決勝三番勝負に、藤井四段の登場を期待する声が高まる。茂渡(しげと)俊慶住職(56)は「新しい世代の活躍は頼もしい。鶴林寺で対局して欲しい」と言う。
市は将棋を健康づくりにも生かそうと9月から、将棋連盟に委託し、心理療法の専門家の協力を得て、将棋に親しむ60歳以上の60人程度を対象に将棋を楽しむことによる効能について調査を実施。今年度は約250万円を予算計上した。塩谷幸代・市ウェルネス推進課長(52)は「将来、将棋を採り入れた健康プログラムができれば、認知症予防にも役立つのでは」と期待する。
今年5月、名人戦七番勝負第5…