JR山手線の車体広告にはレキシが登場する(推進本部会議提供)
2019年の世界文化遺産登録を目指す国内候補が今月末にも、国の文化審議会で決まる見込みだ。大阪府と堺市、羽曳野市、藤井寺市が推す百舌鳥(もず)・古市(ふるいち)古墳群は4度目の挑戦。地元では、構成する古墳を絞るなど対策を取り、今回にかける期待は大きい。
特集:百舌鳥・古市古墳群
「国内推薦獲得に向け、機運が盛り上がっている」。堺市の竹山修身(おさみ)市長は19日の会見で力を込めた。
百舌鳥・古市古墳群は、古墳時代中期(5世紀)のヤマト王権の大王(天皇の前身)が葬られたとみられる最大級の前方後円墳が集中するエリア。堺市の百舌鳥古墳群の大山(だいせん)古墳(仁徳陵古墳、全長約486メートル)や、羽曳野、藤井寺両市にまたがる古市古墳群の誉田御廟山(こんだごびょうやま)古墳(応神陵古墳、全長約425メートル)は、国内1位、2位の規模を誇る。
古墳群は10年に国内候補の暫定リスト入りしたが、13、15、16年の3度にわたり国内推薦が見送られた。
そこで今回、府と堺、羽曳野、藤井寺3市でつくる推進本部会議(会長・松井一郎知事、本部長・竹山市長)が文化庁に提出した推薦書原案で、過去の反省も踏まえて保存状態のよくない古墳を対象から外し、10年の87基から49基に絞った。価値をわかりやすく説明するため、巨大な古墳が集中していることや、前方後円墳や方墳など複数の形の墓があることを強調。堺市の担当者は「今回は練られている」と自信をのぞかせる。
地元の熱も高まりつつある。15年に発足した「世界文化遺産の登録を応援する市民の会」の会員は、昨年6月は8千人だったが、市や堺商工会議所の働きかけで、今年6月に2万人を突破した。推進本部会議も、2月に東京でシンポジウムを開催し、歴史をテーマにした楽曲を手がけるミュージシャン「レキシ」こと池田貴史さんを応援大使に任命。ラストスパートとばかりに、6月25日から市の施設で古墳群のパネルなどを展示し、7月からは東京のJR山手線の1編成の車両に「古墳へGO!!」と大きく書いた大胆な広告も展開した。松井知事は「あらゆる形で勝ち取るための行動を取る」と語る。
応神陵古墳などがある羽曳野市…