波部仁志君(左)を励ます鈴木遼太郎君(右)=名古屋市昭和区
第99回全国高校野球選手権大会(朝日新聞社、日本高校野球連盟主催)に出場する中京大中京の熱戦を見て勇気をもらい、手術を受ける決断をした少年がいる。選手たちは、手術を前に同校を訪れた少年を激励し、甲子園での全力プレーを誓った。
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「必ず決勝まで行くから、手術頑張ってね」
1日午前、グラウンドに訪れた波部(はべ)仁志(ひとし)君(9)に、捕手の鈴木遼太郎君(3年)は声をかけた。手術を3日後に控えた仁志君は、鈴木君の言葉を聞くと、少し照れながらうなずいた。
仁志君は、同校の英語教諭・波部優子さんの長男。生まれつきあごの骨が弱く、腰の骨をあごに移植する手術を受ける。5月に手術予定だったが「こわい」と嫌がり、延期になった。
母・優子さんの影響で生粋の「中京ファン」の仁志君は、定期的に練習の見学に行き、2年前の甲子園出場メンバーのサイン入りボールなど、部屋には数々のグッズを飾っている。今年も、愛知大会は準々決勝から応援に駆け付けた。
特に、優子さんが担任を務めるクラスの生徒である鈴木君のファン。大会での鈴木君の活躍や、チームが勝ち進む姿を見た7月下旬、仁志君は優子さんに言った。「お兄ちゃんたちも野球頑張ってるから、僕もこわいけど手術受けるよ」
4日に手術をして、20日までには退院予定。21日の決勝に中京大中京が進出すれば、必ず甲子園に応援に行くつもりだ。「絶対に勝ってくれると思う」
鈴木君は「僕たちが優勝する姿をスタンドで見てほしい」と話し、甲子園での活躍を誓った。(井上昇)
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中京大中京の監督と選手らは2日、知事公館と名古屋市役所を表敬訪問した。愛知大会の優勝を報告し、甲子園での抱負を伝えた。
伊藤康祐主将(3年)は「チーム全体でつないで点を取り、一つ一つのアウトを取る『全員野球』で戦いました」と大会を振り返った。鵜飼航丞君(同)は「チャレンジする気持ちを持って、日本一になりたいと思います」と、甲子園での活躍を誓った。大村秀章知事は「甲子園でも普段の力を発揮して、大暴れしてきてほしい」と激励した。
中京大中京は3日、甲子園に向けて出発する。