アルプス席から声援を送る二松学舎大付・市川睦君の妹・聖さん=18日午前、阪神甲子園球場、辻健治撮影
(18日、高校野球 三本松5―2二松学舎大付)
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18日の第2試合、二松学舎大付(東東京)の応援スタンドでマウンドへ熱視線を送る女子中学生がいた。エース市川睦(あつし)君(3年)の3歳下の妹、聖さん(14)だ。兄の背中を追い、地元の硬式野球チームでは男子に交じってプレー。同じ背番号「1」もつけた。「小さい頃からの夢をかなえたお兄ちゃんはすごい。ずっと私の目標」
聖さんが野球を始めたのは小1の時。兄とのキャッチボールが楽しく、地元・東京都練馬区の同じ少年野球チームに入団した。家の前の道路で一緒に素振りし、兄の横で筋トレに励んだ。中学に進むと、地元の硬式野球チームに入った。
中学のポジションも兄と同じ投手や外野手。でも、中2の頃になると「球速では男子にかなわない」と感じ始めた。相談した兄の助言は「制球力を上げて、バッターが手の出ないところに投げるようにしたら」。コントロールを良くしようと、バドミントンに使うようなシャトルを10~15メートル先のカゴに投げ入れる練習を繰り返した。千葉県柏市の宿舎で寮生活を送る兄が家に帰ってきた時は、変化球を教えてもらった。
直球のスピードは110キロほどだが、変化球と投げ分ける投球を身につけ、中2の秋の大会では背番号「1」を勝ち取った。打撃でも、兄から譲り受けたバットを振り込み、中軸を任された。中3の時は外野手として活躍。約30人の2、3年生の中で唯一の女子だったが、今夏に引退するまでレギュラーを守った。
13日の初戦で勝った後、市川君は「男子と肩を並べてプレーする妹は強い。努力すれば、試合で成果が出せるということを示せたかな」と話した。高校では女子硬式野球で勝負すると決めている聖さんは「普段はボーッとしていても、マウンドに立つと目つきが変わる」と兄に感心した。
18日の三本松(香川)との試合も応援したが、二松学舎大付は2―5で敗退。聖さんは「調子は悪かったけれど、粘り強く投げていた。甲子園の舞台は楽しそうだった」と兄をねぎらった。(酒本友紀子、辻健治)