囲碁名人戦第4局で高尾紳路名人に勝ち、感想戦をする井山裕太六冠=3日午後4時59分、石川県小松市の「旅亭懐石のとや」、上田潤撮影
第42期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第4局は2日目の3日、石川県小松市の旅館「旅亭懐石のとや」で打ち継がれ、午後4時50分、挑戦者の井山裕太六冠(28)が、高尾紳路名人(40)に164手までで白番中押し勝ちした。シリーズ通算3勝1敗とし、名人奪還、七冠復帰に王手をかけた。持ち時間各8時間のうち、残り時間は高尾名人が57分、井山挑戦者が51分。第5局は16、17の両日、静岡県熱海市で打たれる。
囲碁名人戦をタイムラインで
1日目で守勢に立たされた名人が、2日目の再開直後に思い切った勝負手を放ち、盤上に黒白双方の石が入り乱れる激闘になった。名人の勝負手が奏功したかにみえたが、挑戦者が絶妙の切り返しで難所をしのぎ、その後も名人の追い上げを振り切り勝ちきった。
対局が再開して間もなくの盤の中央左方、黒83の切りに名人は一局の命運をかけた。黒は左辺に弱い石が二つあるが、その黒を両断する白に捨て身の逆襲をかけて相手の弱点をつくりだし、自身の弱い一団に活路を見いだす大作戦だ。
しかし、挑戦者が31分の長考後に放った上辺白102のハネから104の犠打が絶妙。白108、110の連打を実現し、白石を寸断していた要の黒四子を捕獲し、相手の逆転を許さなかった。
解説の伊田篤史八段は「迫力満点の名人の勝負手を、挑戦者が妙手で返す見事な攻防でした。挑戦者は最強に打ってスキがない。名人も決して調子は悪くありません」と話した。(大出公二)
《井山挑戦者の話》 1日目は打ちやすいと思ったが、2日目は分からなかった。良くなったのは最後の最後。これまで自分らしく戦えているので、次も同じ気持ちで臨めれば。
《高尾名人の話》 2日目は普通に打ったら全然ダメ、ツブレそうだなと思いながら打っていた。最初と最後にウッカリがあった。自分なりの力が出せるように精いっぱいやりたい。
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19コウ取る(7)、21ツグ(16)、43コウ取る(35)、48同(4)、50ツグ(35)、54コウ取る(12)、57同(49)、63ツグ(12)、157同(102)