バイアスロン女子15キロに出場した立崎芙由子=細川卓撮影 悔し涙を拭き、立崎芙由子(自衛隊)は風の状況を夫に伝えた。15日の平昌五輪バイアスロン男女の個人戦。計20発中7発もミスをした。風を読み間違え、思っていたより吹いていなかった。「当たるよ。大丈夫」。直後に試合に出た立崎幹人(同)は助言を胸に計20発中、外したのは3発だった。 バイアスロンの競技結果 特集:平昌オリンピック 言葉を動きに、動きを言葉に。「孤高の星 羽生結弦」 29歳の2人は2014年ソチ五輪後につきあい始め、翌年5月5日に結婚した。5を二つ並べたのは、平昌「五」輪に夫婦で出場しようとの思いからだ。だが、昨季を終えて代表入りを確実にした妻に対し、日本男子は出場枠なし。一緒に練習する中、重苦しい雰囲気になった時もあるが、立崎家のルールは「励まし合わないこと」。頑張るのは言わずもがな。夫は言う。「妻の成績が良いと俺ももっとやらなきゃな、と」 今年1月、日本男子で唯一、幹人が出場を決めた。遠征中のミーティングで仲間といた時に知ったため、部屋に戻って2人でささやかに祝った。 カラオケが趣味の夫婦。特別な日はいつも夫が手料理を作る。昨年の結婚記念日は手羽先にめんたいこを入れた料理で祝った。妻は言う。「成績が出ないとき、うそでも『大丈夫』と言ってくれるから、うれしい」 平昌の気まぐれな強風のおかげで、前日の妻の試合が延期されて実現した夫婦同日のレース。64位の夫と76位の妻。夫婦の涙には悔しさと少しの充実感が入り交じっていた。幹人は笑みを取り戻したあと、4年後を見据えた。「今日は記念になるが、次はもっと良い思い出になるよう頑張っていきたい」。22日の女子24キロリレーに出場する芙由子も「頑張らせていただけるだけ、頑張りたい」。2人はこの日をきっと忘れない。(笠井正基) |
自衛官夫婦が挑んだバイアスロン 「大丈夫」言葉励みに
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