三井物産の安永竜夫社長
三井物産 安永竜夫社長に聞く
就職活動で人気の総合商社。人が武器の商社はデジタル時代にどう挑み、どんな人材を期待するか。三井物産の安永竜夫社長に聞いた。
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「世界を舞台にビジネスに挑める場に自分をさらしたい」。それが私の志望動機でした。そんな我々のビジネスの規模感は、学生にアピールする力があるのかもしれません。
一方で、AI(人工知能)やIoTが加速度的に進み、商社でもかつては人がやっていたものを、高速、大量に多様な内容で処理できるようになった。例えばメキシコで運営する発電所の温度や音、振動を東京で常に把握し、メンテナンスすることなどに活用しています。
オープンイノベーションをいくらでもできる点も強みです。社内の多様な事業体がAIやIoTを活用し、様々な仕組みやソリューションを生み、スタートアップ(企業)との連携も最大化しようとしています。
ただ、三井物産はモノを生み出す目的で創業された会社です。技術は、応用してモノを生み出すために使うもの。もともとはモノを生み出すために海外から技術導入し、売るために貿易を生業の基礎とした。事業投資なども得意ですが、我々の本質は、この国に必要な産業や事業を興すこと。今も昔も、そこを強化していることに変わりはありません。
お仕着せで言うべきでないのですが、志望する学生には、知的好奇心を持ち、常に追求する姿勢を持っていてほしい。技術でビジネスモデルは変わっても、地球の裏側まで行き、人を見る目とモノを見極める目の両方が必要なのは変わりません。
最後は能動的に行動する力と知的な好奇心。何でも見て触り、多くの人と議論し、よりよくするために何をすべきかを考える。子どもみたいな「好奇心の塊」をずっと持っていてほしいと思います。
そもそもがいろんな人がいるから成り立つ仕事です。求める人材に定型はありません。体育会で汗してチームを率いた強いリーダーシップがある人も、研究室でひたすら原理を追究した人も必要。どんな分野でもいい、学生ならではのやり方で、付け焼き刃ではない追求する力、集中する力を養ってください。
社員が均質だと勝てなくなるのが我々。連結会社の4万2千人の過半数は外国籍です。様々な人間がそれぞれの役割を持った結果として、チームの相乗効果が表れ、新しい仕事、困難な仕事に挑戦できるようになると思っています。(聞き手・鳴澤大)