火星が31日、地球に大接近する。火星はおよそ2年2カ月ごとに接近するが、6千万キロ弱まで近づくのは15年ぶりだ。観察しやすいのは8月で、小型の望遠鏡でも模様が見える。近年は水の痕跡など、探査機による発見も相次いでいる。
火星大接近を控えた先月16日、東京・中野にある光学メーカー「ケンコー・トキナー」本社で、望遠鏡の選び方や使い方を紹介する体験会が開かれた。親子連れら約20人が参加。光学デモンストレーターの渡辺一生さんが「火星は今回、土星と同じくらいの大きさに見える。鏡の直径が8センチクラスの望遠鏡でも模様が見えそう」と説明すると、参加者は「撮影には何が必要か」などと熱心に質問していた。
父親と来ていた小学6年の男の子(11)は「望遠鏡の使い方のコツが分かったので、火星だけじゃなく木星や土星も見てみたい」と楽しみにしていた。
火星は地球のすぐ外側の軌道を回っていて、地球はおよそ2年2カ月ごとに内側から追い越している。この時に最も近づくが、火星の軌道は地球より楕円(だえん)の度合いが強いため、接近する距離は毎回異なり、6千万キロより近づく「大接近」があったり、1億キロまでしか近づかない「小接近」があったりする。2003年の距離は5600万キロ弱で、「6万年ぶり」とも言われた超大接近だった。
この夏の火星大接近は5800万キロ弱と、03年に匹敵する近さだ。「大シルチス」という表面の黒い模様や、ドライアイスなどでできた南北の極冠の様子も望遠鏡で見やすくなる。
ただ、火星では今年5月に大規模な砂嵐が発生して、模様が広範囲で覆われる状態が続いている。砂嵐が収まるのはしばらく先になりそうだ。また、7月だとまだ火星が夜遅くにしか上がってこないこともあり、国立天文台も「観察しやすいのは8月や9月」として、観望会もその時期に予定している。
■火星の地下に氷…